2007年12月9日日曜日

名字と日本人

著者名;武光 誠 発行年(西暦);2002  出版社;文藝春秋
 種々の歴史的事情もあり微妙なテーマの本ではある。が、非常に興味深いのは、明治時代に戸籍を作る関係で強制的に名字もしくは苗字が制度化され、それまで私的に使用されていた苗字(名字)が戸籍簿に登録されたということである。つまりこの段階で中世から発達してきた歴史とは無関係の名字制度が始まっている。日本では、鈴木・佐藤・田中・山本・渡辺・高橋・小林といった順序で名字はランキングされるが、たとえば「鈴木」は「すすき」とよばれ、秋に稲を収穫して田に積んでおく様子を示していたという。熊野神社の神官は物部氏と関係が深い穂積氏だったが彼らは中世以後「鈴木」という名字を使用しはじめる。また「藤」の字は「藤原氏」の系統であることが多い。主に東北地方に多いとされている。「田中」「中村」という制度は、一つの農村が作られたときにその中心部分をあらわすものと考えられている。「山」や「林」は村落を守る神社が作られた神聖な場所を表す。もっとも「山本」などの名字は集落の指導者から中流以上の農民にも普及していく。「渡辺」は嵯峨源氏の流れを組むとされている。そして「高橋」は古代人の想定していた「神々がおりてくる神聖な土地には目に見えない高いハシゴや柱がたっている様子」だという。トリビアではあるが非常に面白い知識満載の本。

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