2007年12月24日月曜日

人間にとって法とは何か

著者名;橋爪大三郎  発行年(西暦);2003 出版社;PHP研究所
宗教社会学を中心として主に社会学の視点から法学のありかたの通説を説明したもの。ハンドブックとして非常に有用な新書で、小室直樹氏の直弟子らしい憲法とユダヤ教のかかわりなど明確な説明がなされている。古代オリエントのバビロニア、アッシリア、ヒッタイトなどの部族国家とのかかわりとユダヤ教の神との契約がそっくり同じということから、ユダヤ教における神と契約とは=になるという指摘など歴史から現在を学ぶという態度がとにかく面白い。平易に書かれているので、30分ほどで十分楽しみながら読める本となっている。そしてユダヤ教の思考が現在の日本国憲法にもちこまれているということとなれば実定法という概念、自然法という概念がよくわかるようになる。もっとも著者は正直に「これからの課題」「ゆっくり考えなければならない問題」というのも示してくれているので、さらに考察を強めていけなければならない分野についてはさらに専門書を読む必要性があるだろう。小室直樹氏の「痛快 憲法学」と合わせて読むともっと明快な憲法論が語られるようになるかもしれない。

0 件のコメント: