2007年12月26日水曜日

ジャンヌ

著者名;安彦良和  発行年(西暦);2002 出版社;NHK出版
 フランス百年戦争の末期に現れた聖人ジャンヌ・ダルクの死後約10年。フランス内部では百年戦争と平行して、王シャルル派と皇太子派に分かれて内部紛争がおこなわれていた。タイトルでは「ジャンヌ」だが、著者は見事に歴史にもとづかないジャンヌダルク像を作り出し、かつての栄光に貢献したものが、ジルドレのように「青髭」として少年を殺害するなど煩悩の奴隷になっている有様を描く。ジャンヌの「奇跡」というのはかなりの眉唾ものであることは違いないが、人間ジャンヌと、人間の愚かしさを前提に新たな物語が形成されている。オール4色で歴史上の人物や事件については丁寧な注が付されている。歴史漫画の王道がここにある。すばらしい。

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