2007年12月27日木曜日

みんなの精神科

著者名;きたやまおさむ 発行年(西暦);2001 出版社;講談社
 著者は元フォーククルセダーズで「帰って来たヨッパライ」「戦争を知らない子ども達」などでレコード大賞を受賞した九州大学医学部教授。とにかく才能のキラメキを感じる書籍である。第1章は「心の風邪、精神の腹痛」と題した拒食症そのほかの症例について紹介があてられている。第2章では異文化とのかかわりも考慮にいれた精神科医の職業について紹介し、第3章からは尾崎豊、第4章からは「危険な情事」などの映画を取り上げて考察が加えられている。
 トム・クルーズの「バニラスカイ」で、ややエキセントリックな女性が描かれているが、こうした「思い込み」タイプの女性については男性は相当に恐怖心を抱いている。だが北山氏はそれを「男性の思い込み」として分析し、「危険な情事」のオカルト的な終りかたを精神医学の観点から見事に分析している(もっとも映画を精神科医が分析すると妙につまらなくなるが、この本ではそうしたイヤミさは感じられない)。
 とにかく面白い本だ。

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