2007年12月27日木曜日

宮本武蔵五輪書

著者名;中江克己  発行年(西暦);2002 出版社;成美堂出版
 宮本武蔵は天才剣豪ということになるが、その剣に対する姿勢は「上達への方法論」そのものとなる。剣道のみに有用なノウハウだけではなく生活の細部にわたり応用可能な理論がある。おそらくそうした応用可能な範囲が広い点がこの本が長期間にわたり愛読されてきた理由だろう。「朝鍛夕練」(基礎・基本の重視)・「何事においても人にすぐる所を本とし」(差別化戦略)・「大工のたしなみ、よく切るる道具をもち、透透にとぐこと肝要なり」(仕事道具や勉強道具などの手入れや情報の整理などを怠らない)「敵になるということは我が身を敵になり替えて思うべきというところなり」(ライバル会社の立場になってみる)「道理を知れば勝てる」「我が身をひいきをせざるやうに心をもつこと肝要なり」(客観的に自分自身を認識すること・経済環境などを把握すること)‥要は最新の学習心理学とほぼ変わらない理論を独学で宮本武蔵はあみだしていたということになる。こうしたある種「抹香くさい」議論というのは本来人間の心の中にひめておくべきことなのかもしれない。が、けっしていつの時代になっても軽視すべきことではないだろう。

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