2007年12月24日月曜日

現代〈死語〉ノート

著者名 ;小林信彦  発行年(西暦);1997  出版社;岩波書店
1955年の「戦後が終了」したときからの死語を特集。ただし著者が「死語」としている用語でも微妙に現在に生き残っている言葉もある。「ベティ・サイズモア」の中で「ケ・セラ・セラ」が流れるシーンがあるが、この言葉は1956年の「死語」とされている。「知りすぎていた男」でアカデミー賞主題歌賞を受賞したのがきっかけだが、別にこれは死語ではあるまい。時代背景としては神武景気がひとたび終わろうとしていたという時期にあたるが、平成大不況の現在に通じる言葉なのかもしれない。同年、シスター・ボーイとして美輪明宏。「ゲタバキ住宅」も1956年だが、今年のマンション管理士のテキストには「俗語」として紹介されている。最初のゲタバキ住宅は東京の三田だったとか。「トヨタ・クラウン・デラックス」がもととなって「デラックス」もはやったようだ。なんと「永すぎた春」は現在でも使用されるがもともとは三島由紀夫の長編から。「ながら族」の出現は1958年。1959年にはビート族という実存主義とビートニックをまぜあわせた存在が。映画「パリの恋人」の影響のようだ。岩戸景気の影響で「消費革命」という言葉も。1960年には「松竹ヌーベルバーグ」として大島渚の「青春残酷物語」など。またこの都市に森永製菓がインスタントコーヒーを販売して「インスタント」が流行している。1960年より池田内閣が所得倍増計画。「反面教師」も流行するがもともとは毛沢東語録とのこと。否定すべき存在によって肯定的なものを明らかにし、比べ合わせながら鍛えられ成長していくこと、というのが毛沢東の本意だったとか。なんともこうした風に読んでいくと結構楽しめるので娯楽度は相当にある本だ。ただし異論や反論も相当ある本ではあろう。

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