2007年12月26日水曜日

若者の法則  

著者名;香山リカ 発行年(西暦);2002 出版社;岩波書店
 精神科医にして助教授、かつコラムニストによる若者論。とかくいろいろ言われるこの筆者だが、この本ではあえて「大人」のスタンスをとり若者論と同時にその上の世代である20~40代にも下の世代に負担をかけない生き方を力説する。とかくすべて若者に社会の負担がおしかかるが、それはもちろん上の世代の責任でも実はある。「下積み時代には妥協、プライドの傷つき、ウソ、泥臭い努力といった純粋で美しいとはいえないこともたくさん経験しなければならない」といったきわめて現実的な視点をまじえつつ、すべての責任を世代ごとに、あるいは「大人」と「若者」とに、区分けして論評している姿勢には好感がもてる。人生にはカセットテープのようなポーズのボタンもあれば早回しのボタンもあり、だからこそデジタルでは割り切れないアナログの人生といったものは世代を超えて語られる。その努力を放棄した場合には、かつて私自身が批判を加えていた現在の50代のさして変わらない人生になってしまうのだろう。

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