2007年12月26日水曜日

新会計基準の読み方

著者名;菊谷正人・石山宏   発行年(西暦);2000 出版社;税務経理協会
平成9年の連結財務諸表制度の見直しから資産・負債アプローチが国内の会計基準に導入されてきた。当時はまた会計学に特有の「私はこう思う」的な学説が主流だったが、そうした感想文のような論文ではなく、客観的に認識可能で数値・数式で説明できる資産・負債アプローチのほうが、社会科学としては汎用性があることは論を待たない。この本では研究開発費・連結キャッシュ・フロー・退職給付・税効果会計・金融商品について解説が加えられているが、なかなかコンパクトな説明でわかりやすいと思う。グラフや例題も充実している。商法改正前・商法施行規則導入前ということもあり複合金融商品など一部については論述が古い箇所も散見されるが、それはたいした瑕疵ではあるまい。これまでの法律的形式主義・取得原価主義・実現主義の体系から経済的実質主義・市場価値評価主義(時価主義)・発生主義へとパラダイム変換したという基礎認識にたち、個々の会計基準についてかなり丁寧な説明である。特に退職給付や税効果についてはちゃんと資産負債法などについて原則的な説明がされており交換がもてる。著者お二人の学問に対する真摯な姿勢が伝わってくる書籍である。

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