2007年12月24日月曜日

ある通商国家の興亡  

著者名;森本哲郎 発行年(西暦);1989 出版社;PHP研究所
おそらくカルタゴとローマの間に発生した3回にわたるポエニ戦争について記述されるとともに同じ商人国家であったにもかかわらずギリシアの文化は2000年にわたり持続し、カルタゴは滅亡してしまったその姿に「20世紀末」の日本を重ね合わせたのだろう。ラストは格調高くヴェルギリウスの「アエネーイス」を紹介している。古代トロイアの武将がギリシア軍によって滅ぼされたトロイから脱出し、北アフリカのカルタゴからさらにまたイタリアに出航していく話だ。
 第三次ポエニ戦争におけるローマのカルタゴ殲滅はとにかくもすさまじかったようだが、このあたりの描写になるとさすがに元新聞記者の著述だけあってとにもかくにも迫真性が高まる描写だ。思わず読んでいる人間を引き込んでしまう。文章の妙味や歴史の味わいなどが感じられる面白い本。読んで損はなし。

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