2007年12月27日木曜日

独学術入門  

著者名;黒川康正 発行年(西暦);2000 出版社;サンマーク出版
 なんにせよ勉強自体は楽しくやらなければ意味がない。とはいえある種の懲罰がなければばかばかしくて机の前になどは座っていられない。自分をものさしとした「独学」を著者はとなえる。基本的に講義型の授業は私も好きではないので、独学には賛成だ。だがしかしこの本の内容もある種の警戒感で読まないと多分実現不可能な工夫に終わる可能性がなくはない。たとえば通勤時間の活用だが、これはそれが向いている人はそうすればよいがそうでなければ電車の中でまで勉強などする必要はない。モバイルで遊んでいるのも立派な時間のすごし方だ。積極的休養で「脳」を休めることも時間管理の一つなので無理をする必要はないのだろう。そうした意味では、この本は自分自身でオリジナルな勉強方法を確立するのに非常に有意義である。必ずしも本の内容どおりにする必要性はまったくないという点をしっかり理解さえしていれば。
 ただし家族まで勉強に引き込むスキルや「人脈」を功利的に利用する方法は「ちょっと‥」という気がする。ある種そこまでやらなければならない必然性とか、資格試験で得たノウハウを他の日常生活にどう活用していくのかといった視点がまるでない。資格試験も受験勉強も狭く「合格」だけを目標にしているとおそらくその後失敗する。資格試験では「上達の原理」といったものを習得しているのだ、と広く基礎から理解していくほうが応用がきく。クラブ活動や趣味にしても共通する基礎というものは厳然と存在する。そうした上達の原理さえつかんでしまえば、その応用を日常生活でしていけばよい。
 アメリカではハーバードなど高学歴な人間の成功率は日本よりもかなり高いが、それは別に学歴社会がどうこうということではなく、成功にいたる戦略的要因をしっかり卒業までに把握し、個人個人が「ライフスタイル」というものをしっかり確立できているからだろう。思うに「公務員」というものに意義を感じている人間ほど、「成り行き」で公務員になった人間よりもその後の仕事への取り組みが違ってくるのではないだろうか。資格も受験も同様だと思う。

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