2007年12月26日水曜日

「現代財務諸表論の基礎理論」  

著者名;椎名市郎 発行年(西暦);2004 出版社;税務経理協会
 「収益費用アプローチと資産負債アプローチの混在型会計の展開」というサブタイトルがつけられたこの本では伝統的な制度会計の説明とともに国際会計基準に代表される資産負債アプローチによる説明も加えられている。大型書店でみたところこのような両方のアプローチで説明している基本書というのは他にはなく、2004年度の終わりから2005年の初めにかけては注目すべき入門書といえる。内容は個人的には平易と思ったが、ある程度財務会計の知識がないとなかなか消化しにくいのかもしれない。しかし仕訳の例示なども付されており、日商簿記検定2級から1級への橋渡しとしてはすばらしいテキストとなるものと思う。
 著者は従来の収益費用アプローチを、「工業生産を前提とした産業資本の利害調整機能中心」とし、資産負債アプローチを「金融商品などを対象にした金融資本の情報提供重視の会計」と位置づける。こうした演繹的テーマから個別の会計処理の説明に入るので初心者や国際会計基準を知らない人間にも日本の企業会計の独自性がよくわかる構造となっている。国際会計基準の「資産の定義」を含め会計学の上級者にも得るところが多い本であろう。

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