2007年12月27日木曜日

能力主義の心理学

著者名;岡本浩一  発行年(西暦);1999 出版社;講談社
 認知心理学や社会心理学もかなり科学的な業績・評価が確定し、一般社会人も普段の生活にその研究の成果が利用できるようになった。「俗説」として巷にあふれるビジネス本のほとんどは科学的評価がさだまらない宗教本の類が多いが、認知心理学者の書いたものについてはある程度信用できるものと思ってよい。この本もそうした信用できる本の一つであろう。
 さて「能力主義」として現在社会で「能力」測定の道具として言語能力や数的処理能力があげられる。こうしたものがすべて無駄というわけではないが、コンピュータリテラシーについては特に個人差がないことや、国際性が語学力を意味しないことなどを易しく解説してくれている。また「学習性無力感」や「随伴性」といった概念で「やる気」についても解説してくれているのでお勧め。
 やはり人間思い込みだけでは相当に危険すぎるし、客観的な評価と自己評価に大きなずれがあるともう大変だ。自分自身を冷静にみつめるためにも、また怪しげな自己啓発本などにまどわされないためにもより客観的・科学的なこうした本が一般社会に浸透してくれればと切に思う。

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