2007年12月24日月曜日

英国大蔵省から見た日本

著者名;木原誠二  発行年(西暦);2002 出版社;文藝春秋
財務省の若手キャリア官僚による英国大蔵省と日本との比較論。年代からすると20代からロンドン大学に留学されていたようだが、歴史論など深くふみこんだところから慣習法、成文法の国との実務的差異などに言及。頭のキレの鋭さを感じる。もっとも筆者はまだ30代前半であり、これから課長、審議官と官僚機構の上に移動していくにつれ、さらに円熟味を増すのだろう。サッチャーのヴィクトリア王朝への回帰とグラッドストーンへのシンパシーと日本の比較は面白い。教育論議も一部はいっているが、一度落ちた社会的学力はなかなか回復しないという一節もある。当人は予算権限を握るキャリア官僚だけに将来、文部科学省に対しては相当厳しい姿勢で臨む可能性が高い。制度信仰について懐疑的な文章もあり、制度だけでなく思考方法をどう変えていくのかといったところにまで言及されている。こうした人材が中央省庁に在籍しているというのは日本にとって幸せなことではないだろうか。

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