2007年12月24日月曜日

逐条解説 企業結合会計基準

著者名;斉藤静樹 発行年(西暦);2004 出版社;中央経済社
 これまで日本の企業合併は商法に規定されている「時価以下主義」でおこなわれていた。「時価以下主義」とはつまり、「時価」以下の任意の価格で被合併企業の資産・負債を評価して引き継ぐというものだが、こうした利益だしを容認するような会計処理が国際的には通用するはずもない。実際に世界になだたる都市銀行が地方銀行に吸収合併された後、商号を変更する‥などという事例もあった。そこで規定されたのがこの企業結合会計基準だが持分プーリング法を容認しているとはいえ相当に厳しい会計基準である。「後世の批判をまつ」というくだりに企業会計審議会のメンバーの意気込みを感じるがこの会計基準は再来年にも実施される。その前におこなわれる超巨大都市銀行の合併があるが、なんとなく旧来の商法規定で合併処理をするのではなかろうか。いまだ実務指針はでていないうえ、規定にまだ解釈の余地が相当あることは事実だが会計基準策定のプロセスがこの本でより明確になる。意見交換やメンバーも収録されており、国際会計基準を意識しつつも商法会計よりの先生もまじっておりバランスをとりつつ審議されたことがうかがえる。「やさしい」とはいえない本だが貴重な本だとはいえる。

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