2007年12月25日火曜日

詳説船荷証券研究

著者名;大崎正瑠著 発行年(西暦);2003 出版社;白桃書房
もともと簿記会計においては未着商品売買という「得体の知れない」取引においてよくもちられるのがこの船荷証券。要は商品を引き渡したときに商品を受け取る人にこの「有価証券」(ただしこの書物でも明らかにされているがアメリカでは有価証券とはされていないようだ)であり、これを転売することもできる。要は有価証券の売買を未着商品売買といっているだけなのだが、この船荷証券を担保に為替手形を振り出して「荷為替を取り組む」などの表現がでてくると簿記会計はとたんに苦しくなる。かなり細かい実務的な流れがあるがこの本では歴史を丹念にたどって、船荷証券に興味がわくような構成にしてくれている。最新の貿易取引についても紹介してくれている。
ちなみに荷為替手形とは、この船荷証券を担保に為替手形を振り出し、この為替手形を取引銀行に持ち込む。そして商品を受け取る人に為替手形を引き受けてもらって現金を手にするというもの。こうした手形と船荷証券は昔は電信やファックスだったものが最近では電子メールでほぼ瞬時に移転するとのこと。このとき商品を受け取る人に船荷証券を渡すのは、その人が為替手形の引き受けを承認するかあるいは「支払う」かのいずれかでおのおの「引き受け渡し」とか「支払渡し」などと実務では用いられているようだ。
 このときに為替手形の金額が売買代金の金額そのままである場合を「丸為替」といい、手形金額の一部が「置為替」として銀行に留保されるケースもある。こうした荷為替の取り組みは、日本国内ではほとんどみられないが、主に国際間の取引では用いられている。簿記はやはり遠大なる商人の歴史と無関係ではないからこうした用語の意味を楽しむ姿勢も重要かもしれない。しかし建設業会計には船荷証券はまず絶対にでてこない。建物を船で運ぶというケースは…ちょっと…考えにくい…

 法律論も語られているし貿易の実務も著述されているが、どちらかといえば、歴史の本を読んでいるのかと錯覚するほど緻密な文献が併記されており、文書をもとに理論を構築する大変さもしることができる。

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