2007年12月24日月曜日

心を読みかけひきに勝つ思考法

著者名;谷川浩司・古田敦也   発行年(西暦);2002 出版社;PHP研究所
 勝負の世界は「偶然」に左右されるケースもあるが、勝負以前にすでに勝ち負けが決定されている場合も多い。古田敦也は、立命館からトヨタ自動車、そしてヤクルトに入団し、データ重視の排球で野球のあり方を変えた存在だ。将棋の世界でも谷川はこういう。「スペシャリストというのは、たとえば藤井猛九段のように先手でも後手でも四間飛車で押してくるようなタイプです。こういうマイナーなスペシャリストというのも、その人自身はその戦法を長年にわたって指し続けていますので、なかなか負かすのは大変なんですね」。全員が羽生善治や古田敦也のような存在にはなれない。ただしマイナーなスペシャリストをめざすことは誰にもできる戦法だ。社会のあり方と自分自身をみつめなおし、得意戦法をしぼりこむという作業は将棋であれ、野球であれ、ビジネスであれ、変わらない。古田自身も「いろいろなアドバイスがあると積極的に自分自身で試した」といっている。人のいいところは盗んで真似して試してみる。「そのスタイルはプロに入ってからもあんまり変わらない」「バッティングのうまい人が練習するのをじっと見ていたほうがよほどためになる」。認知科学を知らないプロが認知科学の原理を野球に即して語る。古田は「されどプロ野球選手」なのでもある。

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