2007年12月24日月曜日

ゆとり教育崩壊

著者名;小松直樹  発行年(西暦);2002 出版社;中央公論新社
 ゆとり教育論争というのは確かにあるが中央所管省庁がどれだけ論陣をはろうと世間も海外も、そして経済産業省や厚生労働省ですら当の何某省庁については問題外にされている。もともとその省庁はかなり審議会等の答申をかなり忠実に実行するという点ではかなり評判のいい省庁ではある。しかし、ここ数年の目標ありきの迷走はさらに信用を失墜させた。とくにマスコミに露出がつよかった何某審議官については省庁内部でも相当に評判が悪かったことがこの本には記載されている。
 指導要領には解説書が付属するが、これは別に法的拘束力をもつものではない。ただし著作権は文部科学省がもつという不可思議な書籍で書店でむちゃくちゃに安い値段で売られている。巻末には教科書会社が印刷を請け負っているようだが、これはおそらく種々の利権の温床になる可能性が否定できない。印税は著作者に配分されているのだろうか。またこの価格でどうして公共入札なのか。ただしこの元審議官は、不幸な星のもとにもある。埼玉県の業者テスト問題でも当該所管の課長だったりした。遠山プランで名高いあの文部科学大臣は現在の指導要領については批判的だったようだ。文化庁で同期だった事務次官も本当のところはあまり賛成していなかったふしがみえる。しかし、「行政の継続性」と実際のデータ公開がこれからもとめられることから、いくつかの変換をむかえていかなければならないようだ。学力向上フロンティアプランなど、これから一種の確かな学力を育てる方向性にいかざるをえない。もっとも受験戦争をあおるという弊害への批判も一時期相当厳しかったし、それに対応する責務もあったのかもしれない。生涯学習など種々の教育行政の対応はもちろん他の省庁よりも良心的だったともいえる。しかし学力向上論争についてはついぞまともな対応はしてこなかったと総括されてもやむをえないだろう。初等中等局はいわば相当な大所帯ではあるが、2002年に相当な入れ替え・人員配置の転換をおこなったようだ。幼稚園課・小学校課・高等学校課の課長など主要な課の課長の多くが局の「外」にでたようだ。今後はリーダーシップのある人材など多種多様な方向性へ生まれ変わるものと信じているが、もし10数年後まで先延ばしされると、おそらく金持ちで私学の卒業生が日本社会を牛耳ることになるだろう。そう、審議官を含めてやはり旧帝国大学卒業生がプランニングしていることは変わりはないのである。文部科学省は。

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