2007年12月24日月曜日

ブランドはなぜ堕ちたか  

著者名;産経新聞取材班  発行年(西暦);2001 出版社;角川書店
 雪印、そごう、三菱自動車のそれぞれの歴史と会社が危機に瀕するまでのプロセスをかなり綿密にレポート。とはいえ、この本が出版された後、雪印は食品偽装疑惑事件を、三菱自動車はさらなる消費者問題を発生させてしまっている。問題提起はそれぞれなされたが、最終的なツメまでは経営者が変わったぐらいではできなかったのだろう。西武百貨店も親元の西武グループが有価証券報告書の記載事項に問題があったとして上場停止になるなどかなり大きい痛手をこうむっている。
 もともとそれぞれの企業の創業者は、高い品質や顧客重視といった商売にはあたりまえのテーゼを経営理念としていたのだが、どうしてそれが営利至上主義になっていったのかが不可思議である。そごうは明らかに創業者の一人が後継者を育てず、何某大学の学閥を構築してしまったのことに原因がありそうだ。また時代の流れが店舗の大小には左右されない店舗のブランドなどに移ったことも見抜けていなかったのだろう。
 これは産業構造の変化を暗示する一連の事件なのかもしれない。ハードウェアからソフトウェアへ移動する時代。実は店舗よりも無形のブランドの方が重視される時代へと移り変わってきたことを示唆するのかもしれない。
 これを個人レベルで考えると、おそらく自宅持ち家にこだわることが重要ではなく、その人のライフスタイルといったものが重視される時代になってきたということなのだろう。こうした事例をどう解釈していくのかが読者にゆだねられていると思う。

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