著者名 ;ドストエフスキー(江川卓訳) 発行年(西暦);1970 出版社;新潮社
なんとなくこの本を読み始めたのは別にロシアの古典だからとかそうした問題でもない。とある古本屋でみたある文章に目が留まり、読み始めたらあっという間に読み終えた。そんな感じである。
ドストエフスキーがもちろん文豪であることには変わりがないがとにかく面白いということにつきる。ちょうどアメリカで南北戦争がおこなわれている間にロシアでこのような小説が書かれていたことに驚きを感じる。マルクス主義でもなく実存主義でもなくただそこには矛盾と理性を否定した人間そのものがあり、別にそうした矛盾のある存在は21世紀になっても変化がない。日常の常識やコミュニティを否定しただひたすら相手をあざけり自分の意識の中で自分のみを考え、そしてまたそれを自覚している存在。それはもしかすると「近代的な人間」ということにもなるのかもしれないが、これがまた「現代」であても「近代」のまま推移しているのが不可思議な点である。計量化という現象がもたらしたものについてもすでに19世紀の段階でドストエフスキーが考察しきっており、これを21世紀の自分が読むことについて、まずはエンターテイメントとしてもまったく問題がない。極東のアジアに住む日本人にも訴えかけるものがあるということ。実にすごい。
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