2007年10月12日金曜日

京都白情

著者名;荒木経惟 発行年(西暦);1996 出版社;新潮社
 もう発刊されて10年目になる天才アラーキーの京都を舞台にした写真集。けっして綺麗ではないが、しかし迫力がある女性たちの写真集であり、日本の「古都」京都の町並みや普通の生活風景が撮影されている写真集。これはもはや才能というか感性のレベルなのだろうが普通の人間が撮影して編集した場合にはおそらく見られたものではない書籍になるはずがなぜかトータルにまとまっていてしかも見ているうちに感動するというのが天才の天才たる所以なのかもしれない。
 だれもない加茂川の春の風景に赤の文字でアラーキーの京都所感が述べられそれがこの写真集の始まりだ。祇園のビアホールに舞妓さんたちの何気ない表情。お祭りの風景にただライトにてらされた人間の顔の連続。カラオケで手を打ち鳴らすホステス。かしこまるバーテン…。そして京都の町並みを闊歩する「鮎子」…。ただ単に着物をきて京都の春にたたずむ女性がこれだけほどに感動的なまでに存在感をみせるのは、なぜか。

 ただこの写真集は古本屋で入手してしかもイメージは頭の中に刻み込んだのだが、手元にはもはや置いておかないほうがいいのかもしれない。京都のアラーキーのイメージがあまりにも強烈過ぎてこれから出張したときにみる実際の京都との落差には耐えられないではないか。

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