2007年10月28日日曜日

インターネット術語集Ⅱ

著者名;矢野直明 発行年(西暦);2002 出版社;岩波書店
 前作につづくサイバーリテラシーにまつわる用語集。個人情報保護法施行前の内容だがそれでも今後のサイバー空間についての意見が非常に興味深い。メールマガジンなどによる情報発信も常時接続環境のもとではかなり普通に行われる一方で郵送のダイレクトメールはかなり激減したように思う。一つは個人情報保護法の影響が大きいが、もう一つにはメーリングリストなどでダイレクトメールを発信するほうがコストがかなり安くなる一方であらかじめメーリングリストを申し込むぐらいなのだから当然潜在需要者なわけで広告効果も高いと想定される。新聞の社説や記事内容も10年前の官庁のプレス発表の記事をリライトするだけではおそらく成立しない。掲示板などのアマチュア経済理論よりも鋭い記事内容でなければ、クオリティの差異がそのままさらされるわけだから文筆関係のプロには厳しい時代になったといえるだろう。
 文字の文化から声の文化への先祖がえりと著者は指摘しつつ、自立した個人社会が到来するとともに、軸足をきちんと現実世界におきつつサイバー空間に対処する方法をいくつか提示もしてくれる。便利な時代だからこそのパノプティコン社会などいろいろなキーワード満載の2002年発行の情報処理用語新書。わかりやすくて面白い。

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