2007年10月15日月曜日

グローバリゼーションとは何か~液状化する世界を読み解く~

著者名 ;伊豫谷登士翁 発行年(西暦);2002 出版社;平凡社新書
 近代ってなに…かというと物的な豊かさを追い求め、さらに「われわれ」と「他者」とを明確に区別し、統合化と差異化が繰り返された時代と総括される。このあたりは感覚的にわからなくもない。「インディアン」という呼称が「ネイティブ・アメリカン」となったような経緯に相当するように思える。一つの価値観(あるいはイデオロギーといったものが侵食していく様子を独特の切り口で展開。いろいろな参考文献が並んでいるが主に社会学系統の専門書が中心のようだ。データがないあたりが個人的には不満で種々の分析の根拠を問うた場合にそれに応える数値データが歴史には少ないというのもあるのかもしれない。間接賃金の切り下げや公的介入の不備が発展途上国の賃金の切り下げになったというストーリーにはうなずける部分もあるのだがではどの程度どのように影響を受けたのだろう…という疑問もわく。強烈に進行する均質化のなかで差異化が進行しさまざまな暴力や紛争が多発する…というくだりには一種予言じみたものまで感じないわけでもない…。いろいろなものの見方があるなあとふと考え込みたくなるときにはいい本かもしれないが…。

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