2007年10月27日土曜日

コーチングの思考技術

著者名 ;ハーバード・ビジネス・レビュー 発行年(西暦);2001 出版社;ダイヤモンド社
 コーチングというのがここ半年前に凄く流行していた。そのときはなんだか変な名称のビジネススキルだなあなどと思い特に気も留めていなかったのだが、経営学者たちはすでに2000年以前からコーチングについて研究をしていたようだ。内容的には既存の経営科学の業績をしっかりふまえつつ、知的財産や従業員のスキルアップやモラルアップをいかに図るか、あるいは望ましいリーダーシップなどについて著述。ダニエルゴールドマンによるEQの紹介もある。
 またキャリアデザインによるやる気についても紹介。自らの弱点を認める成熟したリーダーシップについてかなりのページが割かれており、ロンドン・ビジネス・スクールのロバート・ゴーフィーとBBCのガレス・ジョーンズの「他人との違いを隠さず」「自らの弱点を認める」リーダーの望ましさと欠点、さらに「自分自身であること、しかしスキルを少しばかり備えた自分になること」という提唱が具体的でわかりやすい。
 また成熟した人間の特質として「意欲の高い人は記録がおもわしくないときも楽観的な態度を保っている」という研究成果を発表し、「達成意欲のほかに自己規制が働いて挫折や失敗によって感じる欲求不満や気分の落ち込み」を「自己規制」で克服していると示唆する。仕事そのものへの情熱は「達成感を動機」にする人が一番高いという結果も興味深い。「最良の仕事の方法をとことん突き詰め、仕事への新しい取り組み方を探ることに熱心」さらに「より高い基準を求める」というのと「結果を記録するのが好き」という研究結果はこうしてウェブで自分自身を探索しようとしている自分には有難い結論でもある。ハーバートビジネスレビューの雑誌そのものは非常に高いが特定のテーマにしぼったこの単行本シリーズはいずれもテーマが明確でしかも読みやすい構成なので非常にいい企画だと思う。良書。

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