2007年10月28日日曜日

この国のかたち(1)

著者名 ;司馬遼太郎 発行年(西暦);1992  出版社;文藝春秋
 司馬遼太郎というとどうしても「オッサン」が読むもの…という偏見があったのだが、実際に手にとって読んでみるとどれも面白いのだからやはりすごい。やや偏向した分析ではサラリーマン向けの歴史などともされているが、実際にこの本を読むかぎり、歴史的著述をなるべく身近なエピソードともからめつつ、今のこの日本がどこから来たのかをゆっくり探ろうというスタンスが感じられる。あまり昭和の時代などを小説にしてこなかった司馬遼太郎だが、この本では「宋」がなぜ尊皇攘夷になったのかを女真族との関係(金)から分析して明治の近代につなげるととともに明治の改革と7世紀の大和王朝の全国統一(?)といった一種の革命を中国からの情報が分析としている。また長江周辺の稲作文化が百済をへて日本にきた流れなどどのエピソードをとっても面白い。佐賀藩では相当に厳しい勉強が強制されていたが大隈重信の在野の精神とはこの佐賀藩の教育方針に反発するものだろうとか、若衆組の解体が明治におこなわれたもののその精神的土壌があちこちに残存している日本といったエッセイが収録されている。1980年代のエッセイだが、なんだかこの続きをさらに読みたくなってくる…。

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