2007年10月31日水曜日

新・世界の七不思議

著者名;鯨 統一郎 発行年(西暦);2005 出版社;東京創元社
 名作ミステリー「邪馬台国はどこですか?」の続編世界の七不思議の解明ミステリー。舞台はバー。オシャレなカクテルの紹介とアトランティス、ストーンヘンジ、ピラミッド、ノアの箱舟、秦の始皇帝、ナスカの地上絵、モアイ像の7つの題材をオシャレに料理。個人的には除福伝説をたくみに描いた秦の始皇帝の章が面白かった。13歳にして墓作りに着手しつつも不老不死伝説にまとわれた新の始皇帝と漢の時代に執筆された「史記」をまつわる考察など世界史が好きな人なら素直に這いこめるミステリー。特にモアイ像の謎ではポリネシア民族の伝播と日本の「谷」と「山」の文化論など、仕掛けが一杯。「ヒーロー」でも描写されていた秦の始皇帝が戦国時代を終了させた功労者という描き方はわりと世間にあるがそれをさらに拡大してミステリーにしてしまう…。
 「秦」の国がとてつもなく魅力的なのは、その国の影響が少なからず日本にも及んでいるからかもしれない。除福の東方伝説の行き先が実は日本だったからかもしれないという説はある程度の根拠はあるし、度量衡の統一や万里の長城などの偉業が日本の戦国時代やその後にも影響はあっただろう(豊臣秀吉に秦の始皇帝と共通するものが歩きがしてならない)。あーでもない、こーでもないと世界史をめぐるエピソードを展開する7日間のバーでの歴史談義。ミステリーでもあり娯楽小説もでもある1時間半の娯楽の時間…。

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