2007年10月13日土曜日

僕は人生についてこんな風に考えている

著者名 ;浅田次郎 発行年(西暦);2003 出版社;海竜社
 「地下鉄に乗って」という文庫本を最初に読んだのが浅田次郎という作家を知る一番最初だった。その後「きんぴか」や「蒼穹の昴」といった作品を立て続けに読み、2003年度時点ではほとんどすべての作品を読んだのではなかろうか。「鉄道員」で直木賞を受賞する前のことだったのではないかと思う。その後ふとした拍子から浅田次郎作品からだんだん自分は離れていったもののこの「僕は人生についてこんな風に考えている」だけは処分できずにいた。楽観的というのでもなく悲観的というのでもなく淡々とした語り口で元極道だった著者がある種達観めいたことを書き連ねているのだがその語り口にほれ込んでしまったのかもしれない。「埋もれてしまう才能とか、報われぬ努力とか、武運つたなき敗戦とかいう現象は人生にままある。だがていてい、努力の利く人間はなんとかなるものだ」といった淡々として、それでいて前向きな姿勢を感じさせるアンソロジーがやはり読み返してみてもしみじみ良い。

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