2007年10月26日金曜日

右脳でわかる会計力トレーニング

著者名;田中靖浩著 出版社名;日本経済新聞社 出版年;2007年
 貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の基本財務諸表を視覚的にとらえてクイズ形式で進行していくという異色の会計本。レベルは非常に高いほうだと思う。なかでも「会計力UP」というコラムが面白い。米国の純資産の部がcommon stockとcapital surplusで表示されているとか、損益計算書の当期純利益が「原因」で貸借対照表の(利益)剰余金は結果とする見方、M&Aで急成長の株式会社の貸借対照表は膨張していく、豊田自働織機の財務諸表にみる時価評価の影響、一般に流通業の会社の売上総利益率がメーカーよりも低い理由高い営業利益率をだすためには他社と差別化された仕組みが必要ブランドには粗利益が高くなるという効果など読んでいて「ふむふむ」と納得することが多い。売上総利益がいわゆる「粗利」だが、この売上高総利益率を計算する理由っていうのが今まで実はわかっていなかった。販売費などが計算プロセスに入ってこないためだが、ブランドの力や差別化の度合い、そして商品(あるいはサービス)の付加価値の高さをみる指標と考えれば売上総利益を計算する理由もよくわかる。800円で新書サイズだが、「お買い得」(それこそ売上総利益率が高い書籍)といえるだろう。それにしてもこんな内容の本が書店に並ぶ時代…ちょっと前には想像でもできなかった時代だ…。

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