2007年10月28日日曜日

なぜこの人は成功するのか

著者名;邑井操 発行年(西暦);1996 出版社;PHP研究所
 どうしてもこの手の書籍の内容は歴史的エピソードが多くなる。同じ歴史的事実でも人によって見方が異なるので、この本の中で高い評価をされている電力関係の成功者のM氏や船舶関係の成功者であるY氏については、他の人からみればおそらく違う評価もでてくるだろう。かなり日本の農村主義的なビジネス形態が根底にあるようにも思ったが、「名刺1000枚もっていればくいはぐれない」という発想はほとんど農業主義的思考で、これがハンターの仲間内の話であれば知り合いのハンターが増えればふえるほど獲物の競争率は高くなるので、そうした発想はでてこない。「君は君、我は我なり、されど仲良き」(武者小路実篤)といった言葉も引用されており、白樺派や儒教などの教えなどが混在した妙なビジネス書籍で、社会科学というよりもむしろ「宗教」に近い内容といえるかもしれない。「相対生」(あいたいいき)というお互いの人生を尊重する姿勢についてはなるほどと思ったが、これもドライな若者でさえむしろあたりまえのことだと思っている人は多かろう。他人を傷つけずにお互いのライフスタイルを尊重する…小さなことだがまずそこから社会生活は始まるし、安易な勝負論ですべてを整理してしまうのではなく、儒教的な見方や日本社会特有の見方なども身に着けておく必要性があると感じたときには、こういう本も役に立つ可能性はあるのかもしれない。

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