2007年10月27日土曜日

モナ・リザの罠

著者名 ;西岡文彦 発行年(西暦);2006 出版社;講談社
 美術史の本ということになるのだろうか。「ダビンチコード」冒頭の場面でフランス人がダイインメッセージで英語表記でモナリザと記す不自然さを指摘し、この絵画には南部のラテン的気質と北部のゲルマン的気質の調和があること、そしてゲルマン的文化では自然をそのままに描写する考え方が発達し、ラテン的文化では自然を理想化する考え方が発達したのだが、この絵画ではその両方がたくみに織り交ぜられていること、そしてルネサンスの人間中心主義や特定の思想や宗教にとらわれない人文主義的考え方がもちこまれ、その先駆となったダビンチの作品などについて紹介。美術史がとかく難解に思われてしまう原因などについても紹介されており、非常に面白い。
 「単に本の内容が読めても、そんなことは面白くもなんともない。本当に面白い本や学問というのはそれを学ぶことによって、世の中や自分自身のことが読めるようになること」という筆者の考え方がそのまま活きている非常に面白い美術史あるいは西洋史の入門的著作。

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