2007年10月15日月曜日

会社法入門

著者名;神田秀樹 発行年(西暦);2006 出版社;岩波書店
 「入門」というタイトルのわりには相当に高度な内容で、法務や総務といった部門で実際に商法と格闘してきたビジネスパーソンかあるいは法学部で商法などを学習してきたことを前提とすれば「会社法入門」といえるかもしれない。証券取引法(金融商品取引法)や税法関係などの関連法典についても目配せをし、さらに日本語の限界や歴史の流れなどにも配慮した大きなグランドデザインが魅力的な岩波新書の新刊だ。内容的には難解であると同時に高度でもあるのだが、その分苦労しただけ内容の一文一文に深い含蓄があり、奥行きがとにかく広い法律の新書である。日本の企業法が大きく変化しようとしている現在、この商法あるいは会社法の泰斗ですら「この会社法は難解」といわしめるほどの内容。ただ、これから日本の企業社会がこれまでに経験したことがない事後規制型社会あるいはコーポレートガバナンス社会を迎えるので、法律の条文がやや難解であってもやむをえない面もあるのかもしれない。ライブドアによるニッポン放送株式買収やD銀行の株主代表訴訟事件など具体例も紹介されたとにかく難解ではあるが、いろいろと新しい視座を与えられる名著だろう。

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