2007年10月27日土曜日

テキスト新企業会計

著者名 ;早川豊・米山裕司・吉田勝弘・久保淳司・宮川昭義 発行年(西暦);2005 出版社; 同文館出版
 2005年の会計学のトピックスを特集した本。北海道大学の先生方による新会計基準の入門書といったところだろうか。通説に準じた平易な説明はなかなかいいとは思うが発行当時すでに会社法は発表になっていたので、もう少し内容的にアップデートされていないと学生にもサラリーマンにも近現代の会計学の歴史を学習するような意味では役に立つがそうでない場合にはちょっと内容的に古くなっている面もあるように思う。とはいえ減損会計や企業結合会計についても実務指針発表前の段階の通説が紹介されていると同時に、1株あたり当期純利益や1株当たり純資産の情報開示については、企業の清算価値と企業の継続企業価値という2つの目的にてらして、企業の収益力を判断するのには1株当たり当期純利益が重要であることや、1株当たり当期純利益の遡及修正や希薄化などについての計算手順なども説明されており非常に有用だ。97年ごろには企業の収益力低下を反映して清算価値の方が継続企業価値よりも重視されていた背景なども紹介されている。1株あたり当期純利益の会計基準も公表されており、その理解にも有用な書籍といえるだろう。いわゆる「マメ知識」を蓄積するには特にいい本だといえるかもしれない。ただし総合的な会計学や新会計基準の理解にはさらに別の書籍を参照していく必要性があると思う。

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