2007年10月28日日曜日

図解雑学身近な心理学

著者名 ;瀬尾直久 発行年(西暦);2002 出版社;ナツメ社
 定評のある「図解雑学」シリーズの心理学バージョン。見開き2ページ1テーマ制度を採用して2色刷り。しかも右側は図解が必ず入っているので非常にみやすい。価格が1300円だが入門書としてこのシリーズがよく読まれているのもわかるような気がする。なにぶん1つのテーマを図式化するという本なので改訂作業とかが大変なのかもしれない。既刊のテーマの中にはちょっともう時代遅れの感が否めないものも混ざってはいるが、それでもなにか建築学であれ歴史であれ、とりあえず全体像をつかもうという場合にはかなりお勧めのシリーズである。さてこの「身近な心理学」では習慣、ストレス、キャリアアンカー、リーダーシップ論、睡眠、夢、言語相対仮説、ベンダー・ゲシュタルト検査など一通りのテーマをすべて網羅。興味のあるところから逆に専門書に進めばよいので心理学専攻とか研究とかでない場合にはちょうど電車の中などで読むには適切な分量。特にキャリア・アンカーなどは保障・安定タイプの人間が中小企業に入るリスクや想像・独創タイプの人間が公務員などになるリスクなどをわかりやすく説明してくれる。世間体がどうこうではなくキャリア・アンカーをしっかり確立していないと確かに就職や転職などでミアスマッチを起こすことは多かったかもしれない。そうした意味でいえば今多数存在するニートってそれほど悪い選択肢とも実は思えない。
 キャリア・アンカーをどうするか、という問題はすでにその上の世代が限りなく大きなミス事例を積み重ねている。何も前の世代がおかした過ちを今の現役世代に押し付ける必要性はないと思う。バブル経済のおりに暴落するワラントをあちこちで押し込み販売していた証券営業マンやら地上げをしていた不動産業者といった例があるが、キャリア・アンカーとしてそのような企業や職業に就職したいとおもう人は少ないだろうし、一生懸命勉強して一流大学→一流企業→左遷→リストラといった事例をみてきた世代にはそれなりに努力の適切な方向性をみきわめる必要性もでてくると思う。過ちを繰り返さない、という姿勢は重要だし、おそらくニート世代のその下の世代はよりソフィストケートされた学習スタイルや就職スタイルを生み出していくと思う。
 世の中ってこうしてみるとやはり進歩している。

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