2007年10月27日土曜日

野望の航跡東大経済卒の18年

著者名;鎌田慧 発行年(西暦);1989 出版社;講談社
1971年に東京大学経済学部を卒業した卒業生の約18年後を描写する。銀行、情報通信、鉄鉱、船舶、アルミ、商社、不動産、官僚、証券会社、脱サラと卒業生の生き様はさまざまなルートをたどる。ただ一貫しているのはなにかしらの目標意識と課題設定能力であり、必ずしも個人それぞれの思い込みがその後の日本の経済社会のためになったものばかりではないことは別としても一種のミッションをおびて仕事をしているのが印象的である。税金でかなりの部分の学費をまかなっていたわけだが、その税金の重さを卒業してから把握した、というようなこともいえるのかもしれない。当時通産省の行政指導についても行政側の論理がかいまみえて非常に興味深いものがあった。結果として通産省が重点産業とした産業はいずれも斜陽化となり、むしろ通産省が当初はあまりあてにしていなかった分野が現在では日本の経済を牽引しているのはこれもまた不可思議ではあるが、こうした予定調和を度外視した経済発展は市場経済の原理の賜物かもしれない。

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