2007年10月27日土曜日

経営の大局をつかむ会計

著者名;山根節 発行年(西暦);2005 出版社;光文社新書
 会計学の学習方法を大局をつかむ場合と複式簿記の技術的な面も含めたテクニカルな場合とに場合わけして、特に経営に有用な会計学という視点から財務諸表の読み方を伝授してくれる本。実はこうした試みはこれまでいろいろな著者が行ってきたが必ずしもすべてが成功してきたわけではない。が、この新書サイズの本では消費者金融や自動車産業など具体的な実例をふくめて財務諸表の読み方を解き明かしてくれているのが個人的にはきわめて有用だった。特に消費者金融の「お金」の仕入れが2パーセントで貸し出しが23パーセント、貸倒引当金が8パーセントといった具体的な数値例が示されているあたりが非常に面白い。なぜその産業が伸びたのかといった視点を財務諸表を通じて分析する手がかりがふんだんに盛り込まれている。
 実際のところ財務諸表作成にたずさわるケース以外では財務諸表を読み解くケースの方がはるかに多い。特に連結段階まで含めると連結修正消去仕訳まで実際におこなう例はほとんど限られた層になると思われる。これまで作成方法についてはかなり詳細に解説された本がでていたが、読み解くケースの紹介はほとんどなかったというのが(あるいはあっても新書サイズでは少なかった)というのが実態だと思う。会計学をとっつきにくいと感じている人には特にお勧めできる本ではないだろうか。

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