2007年10月13日土曜日

不勉強が身にしみる

著者名 ;長山靖生 発行年(西暦);2005 出版社;光文社
 ガシュトン・バシュラールや夏目漱石などを引用しつつ、近代と現代の「はざま」を学力あるいは社会性といった観点から柔軟に読み解く。「本来の自分」とは「もっと理想的な自分を夢見る状態」と切り捨てる一方で、自分が努力する一方で「他人もまた努力している」という事実を突きつけ、とにかく読んでいる一方で読者は常に著者から挑戦を突きつけられる形になっているかなりの名著。
 「社会人である大人が好きなこと、という場合、それは自分が完成させる仕事の結果に向かっての努力や途中の過程で生ずる軋轢やさまざまな調整の苦労は、自明のこととしている。何かを成し遂げたことがある人にとってそれは説明するまでもないことなのだ」(229ページ)という一節に非常に感銘を受ける。

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