2007年10月28日日曜日

なぜか「できる人」の7つの疑問力

著者名;和田秀樹  発行年(西暦);2002 出版社;海竜社
 実際には「7つ」以上の疑問力が収録。世の中の流れに対して疑問を抱くことと「試行錯誤」する能力を提唱。実際、疑問力だけが突出していても、それを実行したり確認したりする作業も必要になるので、いろいろな疑問力というのは必要になるだろう。その際に別の書籍で和田氏が提唱されている3分の1程度の損失を見込んでの試行錯誤というのが現実的だと確かに思う。どうしてもこの世の中では背水の陣をしいてというような方策がもてはやされる傾向もあるが、実際にとりかえしのつかないリスクテイクは本当に悲惨なことになる。「起業」ブームではあるけれど、これもまた取り返しのつく範囲内での独立や起業ということでないと、自己破産などした場合に目も当てられない結果となる。会社法の施行で株式会社設立は相当楽になるが、会社は作るよりも維持するほうが数倍大変なような気がする。
 で、最近の世の中の傾向からするとやはり「景気回復」ということになるのだが、ちょっとこの景気回復ブームには個人的にはついていけない部分が多い。株式投資などが相当楽に出来るようになったが、やはり株式は値動きが激しいリスク商品であることには変わりがない。長期投資・分散投資といった原則からするとデイトレーダーよりもやはり一定の個別銘柄を長期保有しておくのが現実的だと思う。日本銀行のゼロ金利政策解除などを受けてこれから利子率も上昇傾向をたどるが、こうした利率上昇がすべての企業にとってプラスの要因になるとも断言しにくい。金融機関の業務純益の上昇にはつながる可能性は高いが、借り入れ主体の企業にとっては債務負担がそれだけ重くなると同時に投資収益率もこれまで以上に慎重に見極める時代に入ったといえる。消費性向は確かに上昇したかもしれないが、投資がすぐこれからも上昇局面に入るとは誰にも断言はできないだろう。で、個別企業の「生産関数」は実のところその企業にしかわからないデータなので、投資家が入手できるのはあくまでも事後的な情報しかないということになる。これはどれだけ情報産業が発達しても変わりがないことかもしれない。逆に事前的に情報を入手して投資するとそれは明らかなインサイダー取引になるわけで…。
 「バブル」ブーム、「デフレ」ブームとこれまで幾多のブームがあったが、これからもいろいろなブームが作り出されていく可能性は大きい。そんな時代に振り回されずに疑問を呈しつつ、リスクがある程度見込める範囲内で試行錯誤をしていくという手探りの状況を楽しむのが一種の「成熟」ということかもしれない。

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