2007年10月7日日曜日

アーレントとハイデガー

著者名;エルジビェータ・エティンガー 発行年(西暦);1996  出版社;みすず書房
 1924年.ユダヤ系哲学者のハンナ・アーレントは実存主義哲学者マルティン・ハイデガーのもとで哲学の授業を受講する。そしてこの二人はその後、片方は「黒い哲学者」としてナチス党員となり、片方はアメリカに亡命して全体主義に対して抗議の声をあげる。この二人はその後距離をへだてながらも第二次世界大戦をへて1975年までお互いの関係を続ける。ヤスパースなど他の哲学者との交流も描写されるが、基本的に年齢も離れたこの二人の関係はまさしく成熟した恋愛関係であり、しかもお互いの思想的距離は果てしなく遠いという…。二人の間でかわされた書簡をもとにナチズム、第二次世界大戦、そして60年代、70年代と時代の流れを描写していく。まさしく圧巻としかいいようがない「人生」の交差点。「現存在」って結局は、こうした「想い」から由来するものだったのか、とふと思う。

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