2007年10月9日火曜日

石の花⑤~解放編~

著者名 ;坂口 発行年(西暦);2006  出版社;講談社
 シシリー島は連合軍にうばわれ、イタリアローマも連合軍の襲撃を受けた。連合軍のイタリア上陸を阻止できなかった場合、ユーゴスラリア在沖のドイツ軍司令官に責任が呼ぶのは必定と思われた。チトーはたくみにパルチザンをまとめあげ、その独特の哲学が必ずしも社会主義に対しては好ましくなかったゲリラ部隊にも一定の未来が約束されてきたように思える。スロベニア出身のフィーはユーゴのユダヤ人収容所内の劣悪な環境下からそれでも逃れようとせず毎日のナチスの重労働を請け負っていた。そして二重スパイだったイヴァンはかつても恋人ミリカの前で銃殺される…。

 そして革命が樹立。ナチスドイツの脅威をはねのけたパルチザンは服務規律をたかめ新たな国家の創造を今度は共産主義に託す…。すべてが暗く地味に進行していく状況にあって、それでも生き残ったものたちにまたたび現れる「石の花」…本当の数パーセントであっても「善」の意識が蓄積されていけば見事な結晶体が作り上げることが出来ることを地獄を経験してきた最後に残った二人は知る…

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