2007年10月4日木曜日

ユング~地下の大王~

著者名 ;コリン・ウィルソン 発行年(西暦);1988  出版社;河出書房新社
 フロイトが学生時代かなり分かりやすい反面、かなり抵抗感を覚えたのも事実。そしてユングについては何やらオカルトめいたものも感じたりして(特に共時性や集合的無意識といったような概念)結局心理学についてはまともに履修しないまま卒業。そして幾多の経験をつんで分かってきたことは、フロイトの象徴理論や夢分析といったものはある意味知識や理論を受容するだけの立場だと非常にわかりやすい。しかしユングのいわば能動的想像とか、第1パーソナリティ(現実的な自分)と第2パーソナリティ(根源的な無意識)と曼荼羅に代表される4つの分類、そして現実に対する働きかけを重視していく立場はフロイトの無意識理論があまりにも19世紀に与える影響が大きかったがために逆にアードラーなどと並んでこの19~20世紀には必要な理論だったのではないか、というようなことを感じる。ただおそらくこうした感想は学生時代にはいだけなかっただろうから、ある程度、自分なりに試行錯誤してみて「能動的想像」といった言葉にも一定の理解が示せるようになるのかもしれない。呪術やグノーシス主義といったいわば「ダヴィンチコード」の応用編としても読める心理学の書籍だ。河出書房新社はこんないい本を1980年代には出版していたのだなあ、などとふと感慨も。

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