2007年10月9日火曜日

経営実践講座教わらなかった会計

著者名 ;金児昭  発行年(西暦);2002 出版社;日本経済新聞社
 著者はかなりの苦労人だ。大学に入学するときに二浪してその後信越化学工業株式会社へ。さらに連結子会社に出向となって営業業務などを経験してそれから経理部に配属されている。税務調査そのほかを繰り広げていった経験値がその後実を結んだようだが、そのソフトな語り口で会計学を実務家の視点から解き明かしてくれる。連結会計制度が主になったころの本なので、まだ税効果会計などが導入されたばかり、連結納税制度はまだ導入前という時点の本だが、インパクト・ローンはもともと開発融資に用いられていた言葉だが今では外国から借り入れてくる借入金のことをさすとかLABOR1・5パーセントを「いっかにぶんのいち」と読むとか実務家なりの合理主義を見るようなエッセンスにふれる気がする。複式簿記の理解があれば理解は深まるだろうが、タイトルとは裏腹に入門者には厳しい内容かもしれない。退職給付会計についてもわかりやすい説明がされているがこれもまた複式簿記で一定程度年金の数理計算上の差異などを算出していないと何がわかりやすいのかもわからないままになる可能性も。資材購買と経理・財務の関係や為替予約の実際の流れなど堅実経営を死守した経理実務家のエッセンスをこの本では学ぶことができる。特に1980年代前半の円高不況のころのエピソードなどは読んでいてちょっと辛くなる場面も。会計学は人間を幸せにしなくてはならないという信念がひしひしと伝わる本。

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