2007年10月11日木曜日

「すぐれた考え方」入門~「考える力」をつけるための心理学~

著者名 ;和田秀樹 発行年(西暦);2006  出版社;三笠書房
 日経アソシエに連載されていたコラムを1冊にまとめた書籍。和田秀樹先生のいわゆる「推論」「メタ認知」といった用語の紹介から経済や政治をグレーゾーンでみる方法を学ぶ1冊。グレーゾーンで物事を考えていくといったときに筆者が用いている「分散」の使用方法がユニークではないかと思う。分散は確率統計の用語で「データ」と「平均値」の差を2乗してさらにそれを全部足して(総和)、さらにデータ数で割ったもの。一般に分散が大きいほど結果がぶれることを意味するが、ここからさらに「分散の値が大きくなればなるほど人間の関心を喚起する」と和田氏は指摘する。
 たとえば宝くじやギャンブルなどは分散値がかなり大きいがゆえに結果はぶれるが、結果がぶれるがゆえに人間の好奇心を呼ぶ。また自動車事故に実際に遭遇する確率も分散値がきわめて大きい現象だが、巨額の賠償金が発生するのでドライバーは自動車保険に入る…というものの見方だ。分散という無味乾燥な値をこういう形で応用できる姿勢はすばらしいのではなかろうか。

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