2007年10月1日月曜日

風俗の人たち

著者名 ;永沢光雄 発行年(西暦);1997  出版社;筑摩書房
 インタビューの名手とされた筆者が注目されたのはこの前作の「AV女優」でこの筑摩書房からの単行本も出版された当時絶賛を浴びた。当時からいくつか内容を拾い読みしていたのだが、年末年始を機会に一気に読み通す。正直いって終始暗い内容で、人間の「金」と「性」のどろどろした部分や公に語られることのない部分をざっくり切り取って提示。しかもインタビュー主体にここまで人間模様がにじみ出てくるのだからやはり筆者の名インタビューぶりが絶賛されるのも無理はない。自然体でのぞんでいるようにみえて、実はその後の文章の「練り」にも一工夫あったのではないかと思えるふしもある。90年代日本はおそらく21世紀の日本と連続してつづく土壌を抱えている。10年前のルポとはいっても古びた感じがしないのは、同じ人間が手をかえて品をかえて同じことをこれからまた「反復」しようとしているからなのかもしれない。同じようなルポはたくさんあれど、一種の哀愁がにじみ出てくるようなルポっていうとやはりこの1冊になるだろうか。

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