身体感覚についての斉藤孝氏の基礎入門というところだろうか。現在ではかなりメジャーな存在となり、2002年発行の本が2004年で21刷りだ。身体感覚を研ぎ澄ますといった「研ぐ」「磨く」「練る」といった動詞を重視し、姿三四郎やゲーテを引用して共通テキストを構築しようとしている。
基礎の反復を重視する著者は、サモアの英語教育における英文の音読回数が尋常でないことも紹介している。
教育論の一つに身体感覚を持ち込んだ著者は現在文部科学省で次の指導要領にもある程度の影響を与える立場にあるようだ。おとなしいがしかし、基礎学力が欠如した世代に伝統文化の継承をもたらすことができるだろうか。
「意識的な伝承」という言葉が使われているが、1970年の安保世代(現在の50代)に暗黙の批判がなげかれているような気もする。当時は伝統文化を否定することにより、自由が獲得できたのかもしれないが、その安保世代の多くはその後会社人間になるとともに、バブル経済を謳歌した世代でもある。日本文化をひたすらなぶりものにしてきた世代でなおかつ退職年金の食い逃げ世代という見方もできると思う。ただし現在の30代、40代が早く声をあげていかないと、ちょっと将来の見通しが厳しい‥
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