2007年11月24日土曜日

知のモラル

著者名;東京大学教養学部   発行年(西暦);1996  出版社;東京大学出版会
 「知の技法」につづく大学のサブテキスト第3弾。この本もまた新刊で購入したのに9年間も本棚に入ったままである。おもえばやはりテキストという言葉に恐れを感じる自分と「今さら知のモラルなんて」などとためらう自分が手をとるのをこばんでいたのかもしれない。だがしかし内容はやはり面白い上に、法律から文化論まで幅広い題材。そして読み終わった後には自分自身の「モラル」について考えざるを得ない(そして答えはでない)という逼塞状況に陥る。「逃げること」を近代社会は否定したが、それはまたある部族社会のモラルを維持する役割をしている。それでは現代の日本社会で「逃げる」というメリットあるいはモラルとはなんだろうか。あるいは法的闘争をするとして、その闘争が終了したのちに、闘争した人間はもとの状態に戻ることができるのだろうか。近代や現代、そして知ることの「モラル」や「モラル」という言葉の意味そのものについてもおそらく学生時代に問いかけられ、その後の一生で答えがだせないかもしれない問いを発するとんでもない知の入門テキストだ。

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