2007年11月24日土曜日

中沢新一の宗教入門

著者名;中沢新一  発行年(西暦);1993 出版社;マドラ出版
 学園闘争の後、宗教学が隆盛をきわめたことについて進化の対象を人間は内面にもとめていったことを指摘。さらに進化への衝動を音楽にもとめても音楽は他の領域を巻き込む大きな変化にはなりえなかったことを指摘している。さらにキリスト教が本質的にはかなり曖昧で不安定であるがゆえにグノーシス派などの異端を多数生むと同時に異端をつぶすことによって一部の正統派が現在に至ることも明らかにしている。ちなみに福音書についてもニケアの宗教会議で認定されたものが現在の新約聖書で本来は「マグダラのマリアの福音書」などとんでもない自由な内容をもつ福音書が存在していたことも指摘。人間の次元を超えた「何か」を求める宗教学の魅力についての4回にわたる口述講義の集大成でありしかも宗教学の入門書。面白い。

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