2007年11月20日火曜日

性愛論

著者名;上野千鶴子 発行年(西暦);1991 出版社;河出書房新社
 対談で構成されているが一番面白いのは、田中優子と上野千鶴子との対談で江戸文化における地女と遊女の関係性を模索してくれている。当時の人間関係論などは、文献や服飾などから表層的に考察せざるをえないのだろうが、それでも現在と当時とでは男女の関係はかなり違っていた(江戸時代以降明治時代の公娼制度までの連続性と南北朝時代までの白拍子と神社との密接な関係は対比すると非常に興味深い)。鎌倉時代以後、武家政治が始まるが、江戸幕府は武家政治の最たるもの。その中でいわゆる工場のような遊郭ができあがるわけだが、この両者をリンクして考えておくこと、あるいは念頭においておくことはこれからの時代大事だろう。必ずしも現在の日本が当時に逆戻りするようなことはもちろんないわけだが、わけのわからない「抑圧的な思い込み」からなるべく排除されるのが近現代の国家のありかたであり人間のマナー。許容範囲がどれだけひろいのかは国際化といった言葉を「抽象的に」考えるだけでは実用性がない、というようなことにも思い至る。

0 件のコメント: