2007年11月18日日曜日

どぶさらい劇場

著者名;山野一 発行年(西暦;1999 出版社;青林堂)
この本も新刊(ただし出版自体は1999年版のものは再発行バージョン)で当時購入したものだが今回が読みきり最後。
交通事故を起こした富豪の令嬢が相手方に恐喝され、最後には一文無しに。そして新興宗教の教祖などをへて最後は…という「転落」の物語でしかも救いがまったくないまま終わるという1999年の作品らしく、アンダーグランドな世界が終始展開する。
昔は面白く読めたのになぜにもう読み返す気力がなくなったのかといえば、おそらくこうしたアンダーグランドな世界の果てのなさに、嫌気がさしたのだろうと思う。とことんまで貧困を描き、シャブ中やアル中など種々の人間があらわれ、ナマズを愛好するというちょっとアレな人々なども詳細に描かれたりするのだが、どうにもこうにも神経に耐え難い世界だ。あまりに現実を美化するフィクションにもついていけないが、あまりに露悪的すぎるのも考え物。要は中間地点に美学とか現実感とかがあるような気もする。論理も表現も難解なこの本。もしかすると高値でサブカル中心の古本屋が購入してくれるのかもしれないが、ゴミ箱へポイ(混沌とした宗教観みたいなものも、ちょっとみえるのだが既成の宗教の「先鋭的な部分」を適当にごちゃまぜにしただけではないか…という疑問も)。

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