2007年11月24日土曜日

江戸のナポレオン伝説

著者名;岩下哲典  発行年(西暦);1999  出版社;中公新書
 「鎖国」という状態がまったく諸外国と遮断されていた状態ではなく、「鎖国令」という法令も存在しなかったという「通説」の誤解をまずときほぐされる。あくまで世間一般に用いられている鎖国とは17世紀のドイツ人ケンペルの概念だという。あくまで対外貿易の管理統制、異国船に対する防御体勢そしてキリスト教の防止というのが鎖国の実体で実のところオランダをはじめとして幕府は諸外国の動向を分析していた。しかしオランダはナポレオンによって侵略され、しかもフランス革命自体は江戸幕府は把握していた。ということはフランス革命後に登場したナポレオンとつながりをもつオランダ自身もそのことを明らかにすれば幕府との交易を絶たれることになる。そこでこの本はいかにしてナポレオンが江戸幕府に伝わったのかを明らかにしていく。実際のところ江戸時代の末期には異国船がそのまま海岸にのりつけ村民と直接交渉をして物々交換をするということもあったらしい。教科書には著述されない鎖国の実体をこの本で知ることができる。

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