2007年11月24日土曜日

男の肖像

著者名 ;塩野七生 発行年(西暦);1992  出版社;文藝春秋
 ローマ帝国の民主主義的指導者ペリクレス、アレキサンダー大王、カエサル、北条時宗、織田信長、西郷隆盛、ナポレオン、フランツ・ヨゼフ1世、毛沢東、チャーチルといった歴史上の人物の肖像とともに塩野氏流儀の歴史エピソードをはめこんだ書籍。どうしても辛らつな批評が続くが、それでも時代を率いた男たちの肖像から、その後の現在に至るまでの歴史的影響などに思いが及ぶ。動機は確かに今からではそれほど鮮明ではないけれど、おそらくは「生きた証拠」を文字に刻んだいくつかの人生をこの本から読み取ることができる。そしてオクタビアヌスとアグリッパの奇妙な政治と軍事の分担業務なども含めて周辺の人々の人間関係や子孫についても話が及ぶケースも。
 歴史は人間が作るもので、しかもこうした本で過去に死んだ人間が再び蘇る。昔をとおして今をみるというのはこういう地道な作業のことをいうのかもしれない。

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