2007年11月18日日曜日

着想の技術

著者名 ;筒井康隆 発行年(西暦);1983 出版社;新潮社
 あくまで「虚構」にめざめようとし、言葉の力を信じようとする当時はSF作家としてしられていた筒井康孝氏の着想の変遷をつづる。ガルシア・マルケスなど当時はあまり日本では知られていなかった作家にいち早く注目し、それを読者に紹介するとともにその後の自分の作品についての展望も語る。「批評」についてやや感情的な文章も散見されるものの「夢」の分析など緻密な文章は無意識の力と言葉の力で作品をうみだす作家の苦労の歴史といえるのかもしれない。すべての書物が教養=商品で一つの問題に対する答えがたいていその本に書いてあるという時代から現代の一つの問題に対して複数の解答が用意されているという時代への端境期にあったということもいえるのかもしれない。国家・村・共同体への考察も含むアイデアの元となった文章が満載。

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